• 看取りの不安を和らげる往診|飼い主さんと大切な家族にできること

    「できるだけ慣れた自宅で、最期まで過ごさせてあげたい」

    「病院に連れて行くのが難しくなってきたけれど、家でできることはあるだろうか」

    わんちゃん・ねこちゃんの体調が変化し、治療期間や介護が長くなると、このような不安や迷いを抱く飼い主さんは少なくありません。

    家族の一員であるわんちゃん・ねこちゃんの看取りを考えることは、とても大きな勇気が必要で、何が正しいのか迷ってしまうこともあるでしょう。

    そんな時に支えとなるのが、獣医師による往診です。

    自宅でいつも通りの生活を続けながら、必要な医療を受けられるため、わんちゃん・ねこちゃんにも飼い主さんにも優しい選択肢といえます。

    このコラムでは、自宅での看取りを考える飼い主さんへ、往診でできることや、相談のタイミング、飼い主さんにできることを、できるだけわかりやすくご紹介します。

    自宅で過ごす「看取り」という選択

    近年、「慣れ親しんだ自宅で見送りたい」という飼い主さんが増えています。

    看取りとは、延命を目的とするのではなく、残された時間をできる限り苦痛なく穏やかに過ごすためのケアを指します。

    自宅は、わんちゃん・ねこちゃんにとって最も安心できる場所です。

    ● いつもの匂い

    ● 家族の声

    ● お気に入りの場所

    ● 見慣れた景色

    こうした環境が、その子の心と体を落ち着かせてくれます。

    その穏やかな時間を支えるのが往診の役割です。

    往診とは― 動物病院が「自宅に来てくれる医療」

    往診では、獣医師がご自宅を訪問し、診察や必要な医療やケアを行います。

    そのため、負担に感じることが増える通院のストレスを減らしながら、自宅にいながら継続的なケアや看取り期のサポートを受けることができます。

    往診では、次のようなことが可能です。

    ● 体調チェック(体温・呼吸・心拍・血圧・粘膜色など)

    ● 各種検査(血液検査、超音波検査、心電図検査など)は必要に応じて

    ● 点滴・注射・内服薬や外用薬の処方

    ● 痛みや不安をやわらげる緩和ケア

    ● 食事や排泄、体位の助言や指導の処方

    ● 看取り期の心構えやケア方法の説明

    往診では大掛かりな検査が難しい場合もありますが、看取り期に必要なケアの多くは対応できます。

    往診の最大のメリットは、慣れ親しんだ環境でリラックスした状態のまま医療を受けられることです。

    看取り期に往診でできるサポート

    痛みや呼吸を楽にするためのケア

    看取り期に最も重要なのが、痛みや苦しさをできる限り取り除くことです。

    症状に合わせて必要な薬の処方、体の支え方や寝かせ方の工夫など、家庭で実践できる方法を丁寧にアドバイスします。

    呼吸がつらそうなときは、酸素吸入や呼吸が楽になる体勢の工夫など、獣医師が症状を診ながら、飼い主さんが家庭で実践しやすい方法を丁寧にお伝えします。

    食事と水分のサポート

    看取り期になると食欲が落ちたり、水を飲む量が減ることがあります。

    無理に食べさせようとすると、かえって負担になることもあります。

    食べやすい食事の工夫や、好みのかおりや食感を活かした食事の工夫といったアドバイスも可能です。

    脱水が心配な場合は、皮下点滴などを行い、「少しでも心地よく」過ごすためのサポートをしてくれます。

    飼い主さんの心の支え

    看取り期は、飼い主さんの心も揺れ動きやすい時期です。

    「これでよかったのだろうか」

    「もう少し何かできたのでは」

    「かえって苦しませていないだろうか」

    そんな想いに寄り添いながら、医学的な説明や判断をサポートするのも往診の役割です。

    一人で抱え込まないことが、穏やかな看取りにとってとても大切です。

    自宅で迎える最期― 穏やかな時間をともに

    自宅では、病院では叶えにくいその子らしい時間を過ごすことができます。

    飼い主さんの声や手のぬくもりに包まれながら、お気に入りの場所で安心して過ごすことができます。

    「病院に行けなくても、最期まで先生に診てもらえた」

    という声をいただくことも少なくありません。

    往診は、「飼い主とその子がありのままで最期を迎えることができる」時間を支える医療なのです。

    往診を依頼するときのポイント

    ● 対応エリアや診療日・診療時間を確認しましょう。

    ● 料金の目安を聞いておくと安心です。距離や時間帯によって料金が異なることがあります。

    ● 家族で話し合っておくことも大切です。治療方針を共有し悔いのない選択につなげましょう。

    往診を早めに相談しておくことで、いざというときにスムーズに対応できます。

    「まだ早いかも」と思う段階から相談しておくのもよいでしょう。

    飼い主さんができること

    長い時間一緒に過ごしてきたわんちゃん・ねこちゃんにとって、飼い主さんの存在は何よりの支えです。

    ● いつもどおりの声をかけてあげる

    ● 苦しそうなときは、すぐ往診医に相談する

    ● 無理に食べさせず、「できることだけ」を意識する

    ● その子が安心できる環境を整える

    など、 穏やかに寄り添う時間そのものが愛情のかたちです。

    看取りの不安をひとりで抱えないで

    看取りの時期は、誰にとっても不安でつらい時間です。

    しかし、往診という選択肢を知っておくことで、自宅で最期までより添えるという、温かい見送り方を選ぶことができます。

    当院では、往診による在宅医療・看取りサポートのご相談を受け付けています。

    ● 通院が難しくなった

    ● できるだけ自宅で見送りたい

    ● 今の状態が不安

    ● 何から準備すればよいのか知りたい

    どんなことでも構いません。

    どうぞお気軽にご相談ください。

院長の写真

WRITER 武波 直樹

よつば動物病院 / 院長

山口県出身。1980年生まれ。北里大学卒業後、岡山・神戸の動物病院で延べ3万件の診察と2000件以上の手術を経験。末期の動物を「家で看取りたい」という飼い主の声に応えたいとの思いから、2017年、近畿圏で初の往診専門動物病院「よつば動物病院」を開業。訪問診療はのべ1万3千件を超える。飼い主と動物の「その子らしい時間」を支えることを信条としている。
神戸市獣医師会所属、往診獣医師協会理事、日本獣医循環器学会所属、日本ペット栄養学会所属