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シニア犬猫の腎臓病・腫瘍・肝疾患などに取り入れられるオゾン注腸療法とは?

オゾン注腸療法とはわんちゃんやねこちゃんの比較的新しい治療方法です。まだ聞きなれない治療方法かもしれませんが、動物病院で補助療法として取り入れられることが増えてきています。
オゾンの働き、オゾン注腸療法の仕組みや期待できる効果、治療の流れ、安全性について、分かりやすくご紹介します。
オゾンとは
オゾンとは、酸素分子(O2)から作られる3つの酸素分子からなる気体(O3)です。
空気中にもごく少量含まれ、オゾン層として紫外線を吸収する役割を持っています。
オゾンは強い酸化作用を持ち、その特性から医療分野でも利用されています。
体内に入るとすぐに分解され、血流や免疫の働きを整える刺激として利用されるため、動物医療ではシニア期のケアや慢性疾患の補助療法として使われる場面が増えています。

オゾン注腸療法とは
オゾン注腸療法とは、医療用オゾンガスを肛門から腸内にゆっくり注入し、腸の粘膜から吸収させることで全身の代謝や免疫の働きを調整する治療方法です。
オゾンと聞くと、
「刺激が強そう」
「体に害があるのでは?」
と心配される方も多いのですが、治療で使用するのは濃度・量を細かく管理した医療用オゾンであり、安全性を確認した範囲で使用します。
腸には血管やリンパが多く集まっており、オゾンが腸の粘膜から吸収されることで、次のような働きが期待できます。
オゾンが体にもたらすはたらき
オゾンは体の中で酸素や活性酸素として働き、以下のような変化を引き出すとされています。
免疫バランスを整える
過剰に働いている炎症を抑えたり、逆に弱っている免疫を底上げしたり、全体のバランスを整える方向に働きます。
抗酸化力の強化
体内の酸化ストレスを軽減してくれるため、老齢動物のケアや慢性疾患のサポートに役立つとされています。
血液の流れを良くする
血液の流れが改善され、酸素や栄養素が全身に行き渡りやすくなります。
腸内の環境を整える
便秘がちなわんちゃん・ねこちゃんの腸の働きの改善、腸内細菌バランスの改善などの働きが期待できます。

どんな病気や状態に用いるの?
オゾン注腸療法はどのような病気の子に用いることができるのでしょうか?
病気以外でオゾンを用いることはできるのでしょうか?
具体的な利用例を紹介します。
● 慢性腎臓病
● 肝疾患
● 腫瘍の補助療法
● 皮膚疾患、アレルギー
● シニア期の体力低下
● 食欲不振、元気低下
● 慢性的な便秘、腸の働きが弱い子
● 免疫力の低下が気になる子
特にシニアのわんちゃん・ねこちゃんでは、オゾン注腸療法を続けていくうちに、
● 食欲が戻り元気が出てきた
● 散歩の足取りが軽くなった
などの変化を感じる飼い主さまも多くいらっしゃいます。
しかし、オゾン療法は病気そのものを治す治療ではなく、体の機能を基礎から支える補助療法です。
他の治療方法や食事、サプリメントと組み合わせて使用されることがほとんどです。
実際の治療の流れ
治療の流れはとてもシンプルで、わんちゃんやねこちゃんの負担はほとんどありません。
次のような流れで注腸療法を行います。1. 体調をチェックする
2. 適切な濃度・量に調整したオゾンを準備する
3. 細い管を肛門から数センチ挿入する
4. ゆっくりオゾンを注入する
5. 数分間そのまま吸収を待つ
オゾン注腸療法は痛みがほとんどなく、麻酔も不要です。
治療時間は1~2分ほどの短時間で終わり、ストレスも最小限です。
安全性について
オゾン注腸療法は、医療用オゾンを用い適切な濃度で行えば安全性が高い治療方法ですが、次の症状に該当する場合は慎重な判断が必要です。● 重度の貧血
● 腸に出血性炎症がある場合
● 重度の呼吸器疾患
副作用としては、軟便やガス増加がみられる程度で、通常は一過性で長引くことはほぼありません。
治療ペース
治療は次のようなペースで行いますが、個人差があります。
● 初期:週1~2回
● 安定後:2~4週に1回
どのようなペースで治療を行っていくかは、わんちゃん・ねこちゃんの体調を見ながら飼い主さま、獣医師の三者で相談しながら進めていきましょう。
まとめ
オゾン注腸療法は、様々な作用により、慢性疾患を抱える動物の全身状態を根本から支える補助治療です。
シニアのわんちゃん・ねこちゃん、腎臓病・腫瘍・肝疾患など長期管理が必要な子に対して、QOL向上を目的に取り入れられるケースが増えています。
「もう少し楽にしてあげたい」
そのような飼い主さまの思いに応える選択肢の一つとして、注目が高まっています。
オゾン注腸療法にご興味のある飼い主さまは、お気軽に当院にお問い合わせください。
WRITER 武波 直樹
よつば動物病院 / 院長
山口県出身。1980年生まれ。北里大学卒業後、岡山・神戸の動物病院で延べ3万件の診察と2000件以上の手術を経験。末期の動物を「家で看取りたい」という飼い主の声に応えたいとの思いから、2017年、近畿圏で初の往診専門動物病院「よつば動物病院」を開業。訪問診療はのべ1万3千件を超える。飼い主と動物の「その子らしい時間」を支えることを信条としている。
神戸市獣医師会所属、往診獣医師協会理事、日本獣医循環器学会所属、日本ペット栄養学会所属
















