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行楽シーズンに気をつけたい動物の健康管理
行楽シーズンになると、大切なペットを連れて旅行や帰省を計画される飼い主様も多いのではないでしょうか。春の陽気や秋の爽やかな風を感じながら、動物と一緒に過ごす時間は格別です。しかし、人間と違い言葉で不調を伝えられない動物たちには、季節の変わり目や環境の変化によって様々な健康リスクが生じることがあります。
このコラムでは、行楽シーズンに特に注意したいペットの健康管理について、よつば動物病院からのアドバイスをご紹介します。事前の準備と適切な知識で、大切な家族の一員と安全で楽しい時間を過ごしましょう。
乗り物酔いへの対策 – 快適な移動のために
多くのペット、特に犬や猫は乗り物の揺れに弱く、長時間の移動で乗り物酔いを起こすことがあります。乗り物酔いの症状には、よだれの増加、落ち着きのなさ、嘔吐、震え、異常な鳴き声などがあります。
当院も含め多くの動物病院では、そんな動物のために乗り物酔い防止の薬を処方することができます。旅行の数日前にご相談いただければ、お薬の効果や副作用についてもしっかりご説明し、お薬をお出ししています。また、乗り物酔いを軽減するためには、以下のような対策も効果的です
- ・ 出発前2〜3時間は食事を控える
- ・ 定期的に休憩をとり、新鮮な空気を吸わせる
- ・ 車の場合:ペットキャリアは車の中央に置き、窓の外を見せない
- ・ お気に入りのおもちゃやブランケットを持参する
- ・ 特に猫の場合:キャリーを覆い、薄暗くする
車の場合、事前に短い距離のドライブで慣らしておくことも効果的です。お薬と組み合わせることで、乗り物酔いの症状を大幅に軽減できる場合が多いです。
ノミ・ダニ予防の重要性
行楽シーズンは、自然の中での活動が増える時期です。特に春から秋にかけては、ノミやダニが最も活発になる季節でもあります。山や公園、河原などの屋外では、動物がノミやダニに感染するリスクが高まります。
ノミやダニは単なる不快な寄生虫ではなく、バベシア症、ライム病、エーリキア症などの深刻な病気を媒介することがあります。また、激しいかゆみによる皮膚トラブルや貧血を引き起こす場合もあります。
予防対策としては
- ・ 月に一度の定期的な予防薬の投与
- ・ お出かけ後のブラッシングと体のチェック
- ・ 長い草むらや藪に入らないよう注意する
当院も含め多くの動物病院では、動物の体重や生活環境に合わせた最適な予防薬をご提案しています。お出かけシーズン前の準備として、かかりつけの先生に相談してみてください。
混合ワクチンと狂犬病ワクチンの接種
旅行先では、様々な環境や他の動物との接触の機会が増えます。このため、事前のワクチン接種が非常に重要です。
犬には混合ワクチン(パルボウイルス、ジステンパー、伝染性肝炎、パラインフルエンザなど)の接種が必要です。猫の場合も、混合ワクチン(猫ウイルス性鼻気管炎、猫カリシウイルス感染症、猫汎白血球減少症など)の接種が推奨されます。
特に狂犬病ワクチンは、犬の場合、法律で毎年の接種が義務付けられています。旅行先によっては接種証明書の提示が必要な場所もありますので、必ず最新の状態にしておきましょう。
ワクチン接種は、通常、旅行の2週間前までには完了しておくことをお勧めします。これにより、ワクチンの効果が十分に発揮され、万が一の副反応も旅行前に確認できます。
熱中症への警戒 – 命を守る知識
行楽シーズンの中でも、特に暖かい季節は熱中症のリスクが高まります。犬や猫は汗腺が少なく、体温調節が人間より難しいため、比較的低い気温でも熱中症になる可能性があります。
熱中症の主な症状
- ・ 過度のパンティング(犬)や開口呼吸(猫)
- ・ よだれの増加
- ・ 元気のなさ、ぐったりとした様子
- ・ 舌や歯茎の色が濃い赤色や紫色に変化
- ・ 嘔吐や下痢
- ・ ふらつき、意識障害
熱中症の予防策
- ・ 涼しい時間帯に散歩する(早朝や夕方)
- ・ 常に新鮮な水を用意する
- ・ 日陰を確保し、直射日光を避ける
- ・ 車内にペットを置き去りにしない(短時間でも危険です)
- ・ クールマットや保冷剤を利用する
- ・ 室内でエアコンや扇風機を適切に使用する
熱中症の兆候が見られた場合は、すぐに涼しい場所に移動させ、濡れたタオルで体を冷やし(特に頭、首、脇の下、足の付け根)、できるだけ早く動物病院を受診してください。熱中症は進行が早く、命に関わる緊急事態です。
まとめ – 楽しいお出かけのために
行楽シーズンは、動物との絆を深める素晴らしい機会です。しかし、大切な家族の健康と安全を守るためには、事前の準備と知識が不可欠です。乗り物酔い対策のお薬、ノミ・ダニ予防、ワクチン接種、熱中症対策——これらは全て、楽しい思い出づくりの基盤となります。 行楽シーズン前のチェックアップや予防薬のご相談など、当院を含め、かかりつけの動物病院に問い合わせてみてください。万全の態勢で素敵な行楽シーズンを大切な家族とともに迎えましょう。